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アトリエmickey「あの大切な情景」

清流に巣食うモンスターへ

 「長良川河口ぜき」 大嫌いです。

 でも、悪口ばかり言っていてもしかたがありませんので、いま一度嫌いな理由をまとめて思い出してみます。
 どうか、またどこかで、同じような不幸が生まれませんように・・・。

●計画の動機の不透明なところ
 当初は、四日市コンビナートの水需要の増加に対応するとしていたものが、回収水の利用によりその需要の見通しがなくなると、今度は治水が目的であるとした。その効果も疑問視されると、つぎは、塩害の防止だと言う。計画のあとから目的を考えている。

●着手と運用開始の騙しの言い訳け
 引き続き反対意見は聞き入れて、運用をするかどうかは検討するから、建設はとりあえず着手する。そして工事は完成する。どんなに反対意見があろうとも、地元の人達は賛成している。税金で造ったものが、悪いはずがない。そして運用開始する。

●地元民意の操作と利用のテクニック
 伊勢湾台風など過去何回もの水害に悩みを抱く民に、水防施設増強の公約とをセットにした推進派町長が当選した選挙。これを地元民意として、地元以外からの反対意見をしりぞける。

●知多半島の水不足のからくり
 慢性的な水不足に悩む知多半島への導水管の埋設工事が、現在進む。ところが、給水制限で、お風呂の水でトイレを流し、溜め置きの水を飲用している知多半島の、そのとなりの名古屋では、公園の噴水は流れ、ふんだんに水を使って洗車をしている。名古屋市の持っている木曽川の既得利水権を振り分けるだけで、知多半島の水不足は解決すると聞く。

 そして最後に、ここまでわたしをこだわらせるものとして、

●失われた我がふるさとの風景
 通学路からながめる長良川の風景。・・・とっても好きだった。長島町の長良川の堤防沿いを歩いて通った小学校までの通学路。あれからもう30年になるのかなぁ。向こう岸にみえる桑名市の街並み。多度の山、鈴鹿の山々。そして、目の前にひろがる揖斐川と長良川の雄大な水の流れ。わたしは、この堤防から、山に夕陽がしずんでいくのをみるのが、 好きだった。 小学校の写生大会でもこの風景を描いた。

    ・・・でも、いまは、全国最悪の景色になってしまった。

 大好きだったあの長良川の夕陽の風景は、もう、あのモンスターの餌食になってしまった。

   だから、長良川河口ぜき、わたしは大嫌い!

 地元を離れていたわたしが、この長良川河口ぜきの計画を知ったのは、今から15年前の1984年9月、ドイツのシュツットガルトにおいて、関西大学工学部の小松伸也教授(小松左京氏の実弟)からです。ですから、計画されたのはこれ以前ということになります。このとき、小松教授は、
 「長良川にとんでもないものの建設が計画されている。なんとしても、中止すべきものである。なぜならば・・・、」
と、夜を徹して、環境などあらゆる問題について語ってくれました。ですけど、走り出したこの建設計画を止めることは、環境庁長官でさえもできなかったのです。

 本来ならば、立ち止まって考える必要があるものを、それさえせずに、走らせたもの、それは何だったのか。河口ぜきの可否とは、まったくことなる次元で推められたカネと欲の事業計画、そんなものが、この「グロテスクな化け物」を生みだしたのでしょう。

 この地域は、従来から豊かな農作物の栽培されるところで、塩害なんて、聞いたことはありません。ただ確実に言えることは、河口ぜきによって乱される従来の汽水域の生体系は、大きなダメージを受けるということです。また、どこかで塩害が生じていたとしても、きっとこのダメージの規模の方が、まさるはずです。これを目的として、巨額の血税が注ぎこまれたということ、ここが問題なのです。

  (99/06/14-15)


(付録)

 大好きだったあの長良川の夕陽の風景は、もう、あのモンスター(長良川河口ぜき)の餌食になってしまいました。
 満天の星空も、いつのまにかなくなってしまいました。
 幼いころには、延々とつづいていたきれいな砂浜も、埋め立てられて、あと500メートルほどしか残っていません。残された浜もじきになくなるでしょう。浜に降りて、ひとつかみの砂をフィルムケースに入れました。

 あたりまえのように存在していたものが、少しずつきえていく。
 あたりまえのように存在していたものが、本当は大切だったみたい。

    空に星・浜辺に砂があるように・・・・。

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